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2008.10.26
[更新/お知らせ]
ジョン・ヴォイト国際審査委員長ほか、記者会見レポート


■最優秀アジア映画賞『私のマーロンとブランド』



 本国での公開を2週間後に控えたフセイン・カラベイ監督は、本作の受賞を「国際的な評価がついて本当に嬉しい」とコメント。自身がトルコ在住のクルド人であることを明かしながら、「劇場公開される作品は今回が初めてですが、12年前から人権を取り上げた映画を作り続けてきました。私たち当事者以外にはあまり知られていない事実を、偏ったステレオタイプではなく伝えるために映画を撮っています」と語り、「私を突き動かす信念は、憎しみではなく理解。平和を作っていくのは自分たちの努力です。トルコでのタブーを扱った作品がこうして受賞できたことは、トルコに住むクルド人にとって大きな意味を持ちます。これをきっかけに私に続く若い映画人が増えてほしいと思います」と締めくくりました。


■日本映画・ある視点:作品賞『buy a suit』



 「日本映画・ある視点」の作品賞『buy a suit』からは、本作を遺した市川準監督の助監督を務めた末永智也さんと、主演の砂原由紀子さんが登壇しました。

 今回の受賞を「監督にはすでに報告済みです。亡くなった日から、監督はずっと我々と一緒にいますから」と語ったのは末永さん。砂原さんは普段はCM撮影のスタッフだそうで、「今後も女優を続けますか?」の問いには、「それはないと思います。もしそういうお話が来たら、(市川)監督に相談すると思います」と続け、それぞれが市川監督に想いを馳せていたようでした。末永さんは、「監督は“映画を撮りはじめたころの気持ちを思い出したい”とおっしゃっていて、商業映画とは別に“自分が撮りたいもの”を撮る、本作はその第1作目という位置づけでした。完全なるプライベートフィルムだと思っています」と述べ、「最初にHDVカメラを手に入れた際、監督はおもちゃを扱うようにはしゃいでいて、そのときから砂原さんの起用は決まっていたんです」と、砂原さんも知らなかったエピソードを明かしました。


コンペティション国際審査委員長総評 ジョン・ヴォイト



 最後に登壇したのは、コンペティション国際審査委員長のジョン・ヴォイトさん。「(審査が終わって)これでやっとゆっくりできるよ」と会場を笑わせたあとは、『トルパン』の東京 サクラ グランプリ受賞理由について述べました。

 「今回は、6つある主要な賞をまんべんなく分け与えるのではなく、とにかく自分たちが“本当にいい”と思ったものを――それがいくつ賞を獲ろうが構わない、ということで審査しました。その意味で、満場一致で『トルパン』だったのです。監督賞は、もちろん最も良い作品を作った監督です。ひと際優れていたので決定したというわけです」

 今回のグリーン・カーペットに質問が及ぶと、「とにかく、あんな大きなカーペットを歩いたなんて初めてだよ!」と興奮のご様子。「すばらしいアイディアだと思います。そしてリサイクルの材料からカーペットができる、作るという発想をするのが素晴らしい。しかもあれほど丈夫! 作った人を称えたいです。“イダイ!(=偉大:日本語で)” まさに5つ星です」と少しコミカルにまくし立て、最後には「カーペットでこんなに長いスピーチなんてしたことないよ(笑)」とひとこと。記者席を爆笑に包みました。

 また、中国圏、フランス語圏の記者からの質問でそれぞれの選外理由・受賞理由を語るなかで、「これは審査委員長個人としての意見ですが、本当に小さなブーケをあげたい作品があります」と明かし、3作品を列挙。「それは、『ブタのいた教室』『ハムーンとダーリャ』『プラネット・カルロス』です。これらは、特に若い人たちに見て欲しい、素晴らしい夢を追い続ける映画。(チェアマンの)依田(巽)さんに相談して、DVDのパッケージにして学校にばら撒きたいくらい。そして観た人と1時間対談したいくらいの映画です」と熱弁を振るいました。「ぜひ“審査委員長の小さな小さな賞”を作って欲しいとお願いしたけど、直前過ぎてダメでした」ということでしたが。

 盛り上がったクロージング・セレモニーの影響で、50分押しで始まった記者会見でしたが、最後まで祝賀ムードと作り手の熱い想いが満ちた時間でした。

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