2008.10.18
[特別番組]
『ブラインドネス』フェルナンド・メイレレス監督独占インタビュー!
今年の特別招待作品のラインアップのひとつにフェルナンド・メイレレス監督の『ブラインドネス』が決定した。メイレレス監督といえば、長編初監督作品『シティ・オブ・ゴッド』が、2002年の第15回TIFFにアウト・オブ・コンペティションとして上映。ブラジルのスラムで戦いながら日々を生き抜いていく少年たちの姿を赤裸々に描いて大いに話題となり、衝撃的な日本デビューを飾った。そのメイレレス監督が、今年のカンヌ国際映画祭のオープニング作品にも選ばれた最新作『ブラインドネス』を携えて、TIFFに帰ってくる。本作の記者会見のため一足早く来日したメイレレス監督に独占インタビュー!
動画配信は終了しました。
インタビューの模様は動画でも配信中!動画はコチラから
『ブラインドネス』舞台挨拶、木村佳乃さんの独占インタビューはコチラから
『ブラインドネス』 →作品詳細
Q/『ブラインドネス』はジョゼ・サラマーゴの小説が原作ですが、この作品のどこに惹かれましたか?
A/原作は、日常的な大都市からストーリーが始まり、一人の男が視力を失ったことからいろんなことが崩れ、それが引き金となって社会までもが崩壊していく。そこが非常に面白いと思いました。人類の本質がいかに獣に近い原始的なものであるのかということ。それだけのことで人間は、性欲であったり、食欲であったりという、それだけになってしまうまで堕ちていく人類の脆さが面白いと思ったところです。
Q/視力を失うことから人間が原始的になっていく内容ですが、監督自身は視力を失うことについて考えたことはありますか?
A/もちろん他の方々が健常者という中で失明するなら状況は別です。しかしこの映画では全世界すべての人が視力を失い、助けてくれる人など誰もいない状況です。この映画を見た人は、もしこの状況に自分が置かれたら、この映画で起こることに対して自分だったらどう行動するかを考えてくれると思います。私自身も自分だったらどこまで堕ちるだろうかと想像してみましたが、実際にどうなるかはなってみないと分からないというのが正直なところです。ただ、少なくとも映画を見ている間、そのことを自問してみるのはとても大切なことだと思います。
Q/ジュリアン・ムーア扮するヒロインだけが失明しない理由は?
A/実は、原作者のジョゼ・サラマーゴに会ったとき最初に尋ねた質問がそれでした。でも「答えは僕にも分からない」と言われました。少なくとも彼女が善人だからということではありません。人生には説明できないことが多々あるものです。しかし、この映画は彼女だけがなぜ見えるのかという話ではないし、伝染病をどう治し、地球を救うのかという物語ではないので、彼女だけ特別なものがあったということであれば物語の方向性も全然違ってしまいます。この物語は、いかに我々人間が本当に他人を見ることができていないのかを描いているもので、その中で視力=「見える」ということは「知る」ことのメタファーなんです。ですから、それを説明しなかったことは却ってよかったと思っています。
Q/監督は第15回のTIFFに参加されましたが、その時の思い出は?
A/『シティ・オブ・ゴッド』で参加しましたが、その時は「もうこんなことが起きるなんて」という気持ちでいっぱいでした。自分の住むブラジルから、地球の真裏にある日本で行われる映画祭に参加できて、こんなにたくさんの方に興味を持ってもらえて取材されるなんて、という気分でしたね。滞在はたしか4日間でしたが、その間に75本もの取材を受けて大変だったという思い出があります。残念だったのは自分のための時間がなかったことですが、今回は、皆さんに映画を見ていただいた後、少しゆっくり東京を見て帰りたいですね。
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Q/『ブラインドネス』はジョゼ・サラマーゴの小説が原作ですが、この作品のどこに惹かれましたか?
A/原作は、日常的な大都市からストーリーが始まり、一人の男が視力を失ったことからいろんなことが崩れ、それが引き金となって社会までもが崩壊していく。そこが非常に面白いと思いました。人類の本質がいかに獣に近い原始的なものであるのかということ。それだけのことで人間は、性欲であったり、食欲であったりという、それだけになってしまうまで堕ちていく人類の脆さが面白いと思ったところです。
Q/視力を失うことから人間が原始的になっていく内容ですが、監督自身は視力を失うことについて考えたことはありますか?
A/もちろん他の方々が健常者という中で失明するなら状況は別です。しかしこの映画では全世界すべての人が視力を失い、助けてくれる人など誰もいない状況です。この映画を見た人は、もしこの状況に自分が置かれたら、この映画で起こることに対して自分だったらどう行動するかを考えてくれると思います。私自身も自分だったらどこまで堕ちるだろうかと想像してみましたが、実際にどうなるかはなってみないと分からないというのが正直なところです。ただ、少なくとも映画を見ている間、そのことを自問してみるのはとても大切なことだと思います。
Q/ジュリアン・ムーア扮するヒロインだけが失明しない理由は?
A/実は、原作者のジョゼ・サラマーゴに会ったとき最初に尋ねた質問がそれでした。でも「答えは僕にも分からない」と言われました。少なくとも彼女が善人だからということではありません。人生には説明できないことが多々あるものです。しかし、この映画は彼女だけがなぜ見えるのかという話ではないし、伝染病をどう治し、地球を救うのかという物語ではないので、彼女だけ特別なものがあったということであれば物語の方向性も全然違ってしまいます。この物語は、いかに我々人間が本当に他人を見ることができていないのかを描いているもので、その中で視力=「見える」ということは「知る」ことのメタファーなんです。ですから、それを説明しなかったことは却ってよかったと思っています。
Q/監督は第15回のTIFFに参加されましたが、その時の思い出は?
A/『シティ・オブ・ゴッド』で参加しましたが、その時は「もうこんなことが起きるなんて」という気持ちでいっぱいでした。自分の住むブラジルから、地球の真裏にある日本で行われる映画祭に参加できて、こんなにたくさんの方に興味を持ってもらえて取材されるなんて、という気分でしたね。滞在はたしか4日間でしたが、その間に75本もの取材を受けて大変だったという思い出があります。残念だったのは自分のための時間がなかったことですが、今回は、皆さんに映画を見ていただいた後、少しゆっくり東京を見て帰りたいですね。