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2009.03.03[更新/お知らせ]

アンケートに答えて、デイリーニュースセットやTIFFグッズをもらおう!


アンケートの受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました!

第22回東京国際映画祭に向けたアンケートにお答えください!

お答えいただいた方の中から抽選で、TIFFグッズをプレゼント!
プレゼント内容:
daily
1):第21回TIFF会場にて会期中配布されたTIFFデイリーニュース(号外も含む)セット・・・5名様
  (折りたたんでの発送とさせていただきます。ご了承ください。)
2):和田 誠さんデザインのロゴが動いて見える“驚き盤”付きレターセット・・・・・・・・・・・・・5名様
3):20枚収納可能なDVDウォレット(“驚き盤”付き!)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5名様


アンケートの内容は?
第21回TIFFにて特集上映された『映画人の視点』。第22回TIFFで上映を行うなら、呼んでほしい監督・俳優といった映画人(国籍問わず)は?映画人1人の名前とその理由をお答えください!

アンケート受付期間:2009年3月3日(火)~3月10日(火)・18時まで

※プレゼントグッズの当選発表は、抽選の上、発送をもって発表にかえさせていただきます。
※1つのメールアドレスにつき、1回限りの応募とさせていただきます。
※ご応募いただいた個人情報(住所・氏名・アドレス・お申込内容等)は厳重に管理し、抽選および賞品の発送、メールマガジンの配信(ご希望の方のみ)に利用させていただき、これらの目的以外には使用いたしません。

アンケートはコチラから
アンケートの受付は終了しました。

第21回東京国際映画祭「映画人の視点 Director's Angle」詳細はコチラから
『岩井俊二の世界』
『黒沢清の世界』
『滝田洋二郎の世界』

2008年10月22日(水)に上映された『岩井俊二の世界』レポートはコチラから
『岩井俊二の世界』レポート



2009.02.27[更新/お知らせ]

第20回東京国際映画祭コンペティション部門上映作品『トリック』が、洋画★シネフィル・イマジカにて放送決定!

第20回東京国際映画祭・コンペティション部門にて上映され、主人公となる6歳の少年を演じたダミアン・ウルくんが最優秀男優賞に輝いた『トリック』。
その『トリック』が、洋画★シネフィル・イマジカ「シネフィル直輸入映画」(スカパー!(260ch)・
スカパー!e2(224ch)、全国のケーブルテレビ局で視聴可能)にて放送されます。

「シネフィル直輸入映画」とは、各国の映画祭の受賞作品や、劇場公開された国では話題になりながら日本ではまだ公開されてない貴重な作品を独自で買付け、放送する洋画★シネフィル・イマジカならではの番組です。

ワルシャワ出身のアンジェイ・ヤキモフスキ監督による、第20回東京国際映画祭コンペティション部門最優秀男優賞受賞作品『トリック』、洋画★シネフィル・イマジカ「シネフィル直輸入映画」にて放送決定!

放送日
2009年3月
15日(日)23:00-
24日(火)19:00-
27日(金)10:00-


番組の詳細等は洋画★シネフィル・イマジカの公式サイトにてご確認ください。
作品詳細ページはコチラから
洋画★シネフィル・イマジカTOPページはコチラから

視聴方法はコチラから


→ 続きを読む

2009.02.26[更新/お知らせ]

映画批評家プロジェクトの表彰式が行われました!

2月23日、東京国際映画祭事務局にて、第3回批評家プロジェクトの表彰式が行われました。

今回、佳作に入賞した青木吉幸さん、柿本直太さん、古川 徹さんの3名に、審査委員の品田雄吉さん、土屋好生さん、明智惠子キネマ旬報編集長からそれぞれ表彰状が授与されました。
※受賞者アイウエオ順

critics1critics2critics3

受賞者の皆さんには、審査委員の品田さんから、“きちんとした文章が書かれていた。批評とは、どのように自分を出していくかの作業を行うことで、個性・主張が見えてくるもの。書き手自身が見えてくる作品を期待しています。”と、さらなる奮起を促され、土屋さんからは、“映像ではなく、文章ということをもっと意識してください。たくさんの映画を観て、文体の中に自分らしさを出す練習をしてください。”と、アドバイスが。明智さんからは、“品田さん、土屋さんと同じ意見です。もっと映画を観て、「キネマ旬報」を読んでください!”と編集長らしいお言葉をいただきました。


映画よりライブに行くことが多いという青木さん(昨年は『実録・連合赤軍 -あさま山荘への道程』のライブ感に心酔されたそうです)は、今回の受賞に対して、“ありがとうございます。これからも書き続けたいです。”と力強いコメント。
文学や音楽を専門として、今回の入賞作品も映画より文学を評する目で書いたという柿本さんは、“映画と共通する部分の批評を認めてもらえたことがうれしいです。他の受賞者のお2人のように、もっとたくさんの映画を観て、がんばります”と飛躍を誓えば、
2回目の入賞となる古川さん(年間200本を超える映画を鑑賞されるそうです)は、“(佳作での入賞に)何が自分に足りないかは、自分でもよくわかっています。もう一度、気を引き締めて、また挑戦したいと思っています。”と、新たな意気込みを語っていただきました。


その後の懇親会では、アカデミー賞での『おくりびと』『つみきのいえ』の日本映画ダブル受賞や、日本の映画館の現状など、映画にまつわる話題で大いに盛り上がりました。

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第3回批評家プロジェクト受賞者の皆さん。左から青木吉幸さん、古川 徹さん、柿本直太さん

受賞者の入賞作品はコチラから


2009.02.25[更新/お知らせ]

TIFF・アジアの風部門で上映されたヤスミン・アフマド監督作品が、東京と大阪に!

第18回東京国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞、第19回東京国際映画祭 アジアの風部門にて特集上映、第21回東京国際映画祭 アジアの風部門では最新作となる『ムアラフ-改心』が上映されたヤスミン・アフマド監督。

そのヤスミン・アフマド監督の『細い目』と『ムアラフ-改心』が、東京と大阪で開催される映画祭にてそれぞれ上映決定!上映スケジュール・会場は下記にてご確認ください。


第18回東京国際映画祭 アジアの風部門 最優秀アジア映画賞受賞作品『細い目』が、3月14日(土)・15日(日)に赤坂・OAGホールにて開催される、国際交流基金主催のアジア映画ベストセレクションにて上映が行われます!

『細い目』

上映スケジュール:
3月15日(日)・11時30分
会場:
赤坂・OAGホール

2004年マレーシア

[監督]ヤスミン・アフマド
[キャスト]ウン・チューソン/シャリファ・アマニ

チケット入手方法、その他詳細はコチラから
国際交流基金 アジア映画ベストセレクション 紹介ページ


第21回TIFFにて上映された『ムアラフ-改心』が、3月13日(金)~22日に開催される、大阪アジアン映画祭2009にて上映が行われます!

『ムアラフ-改心』
関西初上映
上映スケジュール:
3月16日(月)・16時50分
会場:
ABCホール(朝日放送 新社屋内)
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2007年マレーシア

[監督]ヤスミン・アフマド
[キャスト]ブライアン・ヤップ/トニー・サバリムトゥ

チケット入手方法、その他詳細はコチラから
大阪アジアン映画祭2009 上映作品紹介ページ


2009.02.23[更新/お知らせ]

滝田洋二郎監督『おくりびと』がアカデミー賞外国語映画賞受賞!

2月22日(日本時間2月23日)、第81回アカデミー賞が発表になりました。

滝田洋二郎監督、本木雅弘主演の『おくりびと』が、日本映画として初となるアカデミー賞外国語映画賞受賞の快挙を達成!
(滝田洋二郎監督には第21回東京国際映画祭“映画人の視点 Director's Angle”「滝田洋二郎の世界」に参加いただきました。)
takita
第21回TIFFにお越しいただいた滝田監督


さらに、日本映画から加藤久仁生監督の『つみきのいえ』も短編アニメーション賞を受賞!うれしい日本映画ダブル受賞となりました。

長編アニメーション賞を、第21回TIFFクロージング上映作品の『ウォーリー』が受賞したのもうれしいニュースですね。

作品賞はダニー・ボイル監督の『スラムドッグ$ミリオネア』が受賞。『スラムドッグ$ミリオネア』はダニー・ボイルの監督賞も含め、計8部門を受賞しました。
主演男優賞は『ミルク』のショーン・ペン、主演女優賞は『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレットが受賞しました。

その他の受賞は以下の通りです。

作品賞:  『スラムドッグ$ミリオネア』
監督賞: ダニー・ボイル『スラムドッグ$ミリオネア』
主演男優賞: ショーン・ペン『ミルク』
主演女優賞: ケイト・ウィンスレット『愛を読むひと』
助演男優賞: ヒース・レジャー『ダークナイト』
助演女優賞: ペネロペ・クルス『それでも恋するバルセロナ』

外国語映画賞: 『おくりびと』
脚本賞: ダスティン・ランス・ブラック 『ミルク』
脚色賞: サイモン・ボーフォイ 『スラムドッグ$ミリオネア』
撮影賞: 『スラムドッグ$ミリオネア』
美術賞: 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
編集賞: 『スラムドッグ$ミリオネア』
録音賞: 『スラムドッグ$ミリオネア』
衣装デザイン賞: 『ある公爵夫人の生涯』
主題歌賞: 『スラムドッグ$ミリオネア』
作曲賞: 『スラムドッグ$ミリオネア』
音響編集賞: 『ダークナイト』
視覚効果賞: 『ベンジャミン・バトン/数奇な人生』
メイクアップ賞: 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
長編ドキュメンタリー賞: 『マン・オン・ワイヤー』
短編ドキュメンタリー賞: “Smile Pinki”
長編アニメーション賞: 『ウォーリー』
短編アニメーション賞: 『つみきのいえ』(日本)
短編実写賞: “Spielzeugland”


2009.02.09[更新/お知らせ]

第3回映画批評家プロジェクト入賞作品発表!


<第3回映画批評家プロジェクト 結果発表>

 第3回映画批評家プロジェクトの受賞作品が決定致しました。
 今回もたくさんの方からの応募をいただき、大変ありがとうございました。皆様からの映画に対する情熱を強く感じました。皆様への感謝の気持ちと共に、このプロジェクトをより意義のあるものにするべく、今後も取り組みを行ってまいります。
 受賞された方はもちろん、惜しくも受賞を逃された方にも、またぜひ次回もチャレンジして頂ければと思います。
 今回は審査の結果、佳作3名を選出いたしました。
 今後の皆様のご活躍を願うと共に、応募して下さいました皆様に心より感謝いたします。
第21回東京国際映画祭事務局
映画批評家プロジェクト一同  
第3回映画批評家プロジェクト概要


<第21回東京国際映画祭 映画批評家プロジェクト総評>

審査委員: 品田雄吉、土屋好生、明智惠子(キネマ旬報編集長)

<審査委員総評>
 映画を、しっかりと見る目を持った批評家を育てるというコンセプトで開始されたこのプロジェクトも今年で3回目を迎えた。
 今回も多数の方からの応募があったが、今後もこのプロジェクトが注目され、多くの人材が育つことを期待している。
 昨年同様、インターネットなどでの発表の場が増えている現在、文章の上手さは目を引くが、突出した作品が無く、レベルは揃っているが同程度の作品が多かったため、今回は優秀賞の選出は見送った。ただ、その中でも映画を見る目を持ち、独自の視点からの批評を展開した3本を佳作として選出した。
 今回選ばれなかった作品の中にも、佳作に値する作品はあったが、批評文として、何が必要か、何が必要でないかという事をもっと自分なりに考えて次回に意欲を燃やして欲しい。


表彰式の模様はコチラから


<第3回映画批評家プロジェクト 結果発表>

佳作:
青木吉幸  Yoshiyuki Aoki   『ブタがいた教室』
柿本直太  Naota Kakimoto   『アンナと過ごした4日間』
古川 徹   Toru Furukawa   『ダルフールのために歌え』
※クリックすると、各受賞作をお読みいただけます。これから作品をご覧になる方は、内容に触れている箇所がありますのでご注意ください。
※受賞者アイウエオ順


◆佳作 
『ブタがいた教室』  青木吉幸

 新任教師の星先生は「1年間育てた後、みんなで食べよう」という前提で、6年2組の生徒と子ブタを飼育する。しかし、Pちゃんと名付けられたブタの世話をする子供たちには次第に愛情が芽生え、食べるか、食べないかでクラスの意見は真っ二つ。タイムリミットは卒業の日。果たして彼らが選択したのはどちらの結論か?
 ショッキングな題材だが、これは18年前に大阪の小学校で実際に行われた実践教育だという。反響を呼んだTVドキュメンタリーとして放映され、本にもなり、今回の劇映画化へと至ったのである。実話の映画化で陥りがちなのは、現実に侵食され、忠実に再現しようとするあまり、本当にあった話が、どこか嘘くさくなってしまうこと。言うまでもなく、映画的なリアルと事実は違う。たとえそれが作り事でも、映画の中の本当らしさを観客が信じられればそれでいいのだ。監督は、役者は、いや、その映画に係わるあらゆるスタッフは、その為に手を尽くす。
 では、この作品はどうか? 現実には2年半の飼育期間を1年間に凝縮し、子供たちとPちゃんのふれあいを春夏秋冬の風景と共に見せており、撮影は美しい。抜けるような青空、夏の夕暮れ、秋の台風、冬の木枯らしといった風景の中、Pちゃんとのサッカーや、花火や、その処遇をめぐってのケンカを描き、子供たちの気持ちが季節とリンクしていくのは、やはり劇映画ならではの描き方だろう。あるいは、Pちゃんと一緒の子供たちを捕らえるカメラが、終始ブタ目線と思えるくらいにローアングルなのも、モノ言わぬPちゃんの存在を常に意識させられる。また、Pちゃんの登場シーンに、元気いっぱいの躍動感ある音楽が付くのもいい。さらには、この映画最大のテーマである、食べるか、食べないか(というより「生かすか、殺すか」というきらいになった節はあるが)をめぐって子供たちがディベートするシーンで、ドキュメンタリー的手法が功を奏しているのも間違いない。子供たちにセリフや結末が白紙の脚本を渡したという監督は、実際に議論を戦わせ、複数台のカメラを用意して、子供たちの活き活きとした生の表情を抜くことに成功しているのだ。
 だが、その一方で大人たちの描き方はどうだろう。担任役の妻夫木聡の自然体な演技はそれなりに好感が持てるが、ファッションショーさながらに衣装が変わるわりに、その暮らしぶりが全く不明なのはどうかと思うし、ブタの飼育に理解を示す校長役の原田美枝子や、逆に批判的な教頭役の大杉漣のいかにも類型的で無難な扱いにも疑問がある。そもそも18年前の近過去でなく、現在の物語として描く努力が薄いのも問題。子供たちがPちゃんを携帯カメラで写すシーンがあるくらいでは、到底足りないだろう。今、劇映画として撮るのなら、そこには18年間の変化を何らかの形で組み入れる努力が必要な筈だ。
 昨今のニュースでも「食」の問題に無関心ではいられない現代だが、その社会を作ってきたのはもちろん子供ではない。大人なのである。この映画の主役がPちゃんと子供であるのは当然だし、子供と大人の両側面を同比重で取り上げるのは無理だと分かってはいるが、即興演出が子供たちを「生かす」一方で、自在に描くことが可能な劇映画として大人たちを描けず「殺す」結果になったのは残念である。



◆佳作 
『アンナと過ごした4日間』  柿本直太

「覗いたものは何か?」

 ニーチェの『善悪の彼岸』には「怪物と戦う者は、自分も怪物にならないよう注意せよ。 深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込む。」という箴言がある。
 ポーランドの巨匠、イエジー・スコリモフスキ監督の実に17年ぶりの新作は、如何にもきな臭い男が街を歩く描写と、空虚に響く鐘の音で始まる。 街外れの小屋まで斧を運ぶ男、そこにある人間の腕、パトカーのサイレンが鳴り響き、鏡に映る彼の青褪めた表情。 冒頭はヒッチコックに匹敵する上品なサスペンス描写が連続するが、実はそれは監督の愛嬌で、男は自分の仕事をこなしているだけであった(病院から出る廃棄物の処分)。
 男(レオン・オクラサ)がサイレンで青褪めたのには理由がある。 数年前、郊外の納屋で足の爪の赤い女性が強姦される事件があったが、警察は目撃者のレオンを犯人だと決め付け、(吃音症で)気の弱い彼はそれを否定できなかった為、冤罪でしばらく服役させられていた。 また、彼は家の向かいに位置する病院の女子寮、特にアンナの部屋を常習的に覗いており(ストーキングもしている)、近々そこへ侵入する計画も建てている。 過去の逮捕のトラウマや不法侵入の企てが、彼を警察に対して異常に神経質にさせているのである。
 献身的に世話をしてきた病気の祖母が亡くなると、レオンは吹っ切れたようにアンナの部屋へ侵入を試みる。 睡眠薬等で下準備した甲斐あって進入は成功するのだが、彼の良心と小心が、寸前のところで眠るアンナに触れるのを制止した。 侵入は4日間に及ぶにもかかわらず、解れたボタンを繕ったり、掃除をしたり、マニキュアを塗ってやったり、指輪を置いて来たりと、レオンは決して彼女に手を出さない。 偏執的にアンナを覗いていたのは性交渉が目的ではなかったのだろうか。
 彼が最初に「覗いた」のは、実はアンナの部屋ではない。 彼の人生初の「覗き」は例の強姦の現場であり、言い換えれば人間の欲望、ニーチェの言を借りると「深淵」である。 数年前、レオンは農場でレイプの現場を覗き、激しい欲望の具現を覗き込んだ。 しかし同時に欲望の根幹、つまりある種の「深淵」もまた彼を覗き込んだのである。 そして定石通り、欲望の「怪物」と対峙した彼は自らも欲望の「怪物」に変化していった。 端的に言うならば、レイプというものに直面することで、彼も誰かをレイプしてみたくなったのである。 被害者の女性と重なるよう彼がアンナの足に赤いマニキュアを塗ったのは、先の事件と無意識に同調させようとした為だ(ここまで来ると、例の事件の被害者が実はアンナ本人であったことは容易に想像がつくだろう)。
 だが、レオンは「怪物」にはならなかった(冷静に自己を見つめ直す鍵として鏡が度々登場する)。 歪んではいたものの、アンナへの愛が彼を踏み止まらせた。 監督は「作品中に人間の暗い面と明るい面が表現されている」と語るが、後者は、アンナを愛するが故に、最後まで彼女に手を出さなかったことに集約されている。 また部屋への不法侵入により法廷へ召喚された際、レオンはアンナの前で、彼女を愛していること、自分が潔白であったことを真摯に訴えることができ、彼の人間としての成長も読み取ることができる。
 しかし、愛だけで全てが上手く収まるわけではない。 ピーピング・トムに代表されるように何かを「覗いた者」は何らかの罰を受けなければならず(目を潰されるのが基本)、この作品でもそれは同様で、終幕においてレオンは二度とアンナを覗けなくなってしまう。 確かにレオンが深淵からこちら側に戻ったのは喜劇的だが、やはりこの物語は悲劇と評する他ないだろう。 (彼が愛した)アンナは“向こう側”に居るのだから。



◆佳作 
『ダルフールのために歌え』  古川 徹

 実直なタイトルが示す通り、明確な社会的メッセージが込められた作品である。しかし、そのメッセージは決して直球ではない。ダルフール紛争の惨状を描くことで関心を高めるという常套手段ではなく、ダルフールを一切描かずに、他国の痛みはおろか、目の前の他人の痛みにすら無関心な都市生活者たちの、空虚な日常の断片を切り取り、コラージュすることで、いつしかスクリーンと客席の垣根を取り払い、観る者にヒューマニズムを啓蒙する。ヨハン・クレイマー監督は、そんな大胆な試みを仕掛ける。
 ダルフール救済コンサートに沸くバルセロナ。しかしながら人々の関心の対象は救済ではなく、豪華アーティストのパフォーマンスであり、それがもたらす利益である。ひったくりによって旅行者から奪われたチケットは、転売に次ぐ転売で値が跳ね上がり、そればかりかチケットの偽造によって荒稼ぎを企む輩まで現れる。善意によるコンサートには悪意が寄生している。
 街の雑踏を慌しく交差する人々は、わずかに触れ合いながらも心までは交わることなく、自らの利益のみを追い続ける。その世知辛い姿には心寒くなる。しかもスクリーンは自分を映す鏡のようで居心地が悪い。カメラは、興味本位で盗み見するかのような無責任な視線で、不自然なアングルから都市生活者たちを捉える。落ち着きのない小刻みなカット割りと、息がつまる程のクローズショットは、彼らの慌しい生活のリズムとプレッシャーに符合し、モノクロームのザラついた画は、心の乾きを映し出す。目まぐるしく被写体が替わり、痛みや幸福感を共有することなど許されず、コミュニケーションの欠如に不安が募る。どこか突き放したような歪(いびつ)な構図は人物像を一層歪め、観客にストレスを強いる。映画を観ることは、スクリーンを隔てて登場人物との擬似的、刹那的な関係を築く行為でもあるが、余りに希薄な人間関係に不安にかられ、雑踏に埋もれるような孤独に苛まれる。
 しかし、クレイマー監督はラストに救済を用意する。中年のタクシードライバーが登場すると、次第にカメラは被写体と真摯に対峙し、的確な構図で彼を捉え、受け入れようとする。やがて彼の心ある言動により安堵感が生まれる。そして、冒頭でひったくりに遭った女性をタクシーに乗せることで、点在していたエピソードのモザイクが輪を形成する。フリーハンドで描いたような歪な輪ではあるが、一筋の光りが灯り、無機質な映像がにわかに体温を帯びる。被害者の女性は、チケットと引き換えにもっと大きなものを得たに違いない。それこそが本当の救済につながることを願いたい。彼女を祝福するかのように包み込む気高い歌声が至福の時を提供する。


 出演者の輪の中に"YOU"(観客)を配置するエンド・クレジットは、いささか過剰な表現にも思えたが、登場人物たちがリレーのようにつなぎ、ささやかな希望が込められたバトンを、一人でも多くの観客がしっかり受け止めることを促す、作り手の善意は信じたい。
 惜しむらくは、全編を通して画面構成がやや単調なため、空間的な広がりが乏しく、バルセロナを舞台に選んだ意味が希薄な感がある。しかし裏を返せば、それによって作品に込められたメッセージが、世界中の都市に通じる普遍性を帯びているのも事実である。いずれにしても、既製の文法にとらわれない自由奔放な筆致が感性を刺激する、イマジネーション豊かな作品である。



2009.01.16[更新/お知らせ]

『バスカッシュ!』先行上映会に合計60名様をご招待!


応募の受付は締切りました

basquash
河森正治、ロマン・トマ/サテライト/バスカッシュ!製作委員会・MBS

第21回東京国際映画祭animecs TIFF 2008にて特集上映された『ビジョンクリエーター河森正治の世界』。
上映の最後を飾ったのは、サプライズ上映された河森正治NEWプロジェクト『バスカッシュ!』の映像でした。
満員の会場を大いに湧かせた期待のアニメ『バスカッシュ!』の放送開始が2009年4月MBSほかにて決定しました!

さらに、その放送に先駆けて、迫力の映像を大画面で体験できる先行上映会が決定!

2/21(土)東京会場(応募受付締切)と、3/7(土)大阪会場の2つの会場で行われる先行上映会にそれぞれ15組30名様、合計30組60名様をご招待いたします!
上映後には、プロジェクトディレクターの河森正治氏ほかメインスタッフのトークショーやキャストトークショーなども予定されています。

ご応募はコチラから 応募受付けは締切りました。


■締切:
東京会場:2009年2月10日18時まで 応募受付けは締切りました。
大阪会場:2009年2月23日18時まで 応募受付けは締切りました。

『バスカッシュ!』先行上映会詳細
イベント内容:
・『バスカッシュ!』第一話先行上映
・スタッフトークショー/出演:河森正治、ロマン・トマ、佐藤竜雄
・出演キャスト:
 2月21日(土)【東京会場】ダン役:下野紘さん、セラ役:伊藤静さん、
                 ミユキ役:浅野真澄さん、ココ役:花澤香菜さん
 3月7日(土)【大阪会場】 ミユキ役:浅野真澄さん、ココ役:花澤香菜さん

会場
【東京会場】
日時:2009年2月21日(土)
15組30名様をご招待いたします。 応募受付けは締切りました。

【大阪会場】
日時:
2009年3月7日(土)
15組30名様をご招待いたします。 応募受付けは締切りました。

※イベントの内容・時間等は変更になる場合がございます。
※当選者の発表は招待状の発送をもって代えさせていただきます。
※ご応募いただいた個人情報(住所・氏名・アドレス・お申込内容等)は厳重に管理し、抽選および招待券の発送、メールマガジンの配信(ご希望の方のみ)に利用させていただき、これらの目的以外には使用いたしません。

『バスカッシュ!』公式サイトbasquash.comはコチラから
第21回TIFF『ビジョンクリエーター河森正治の世界』 上映レポートはコチラから(動画配信は終了しました)



2009.01.01[22回に向けて]

第22回東京国際映画祭、2009年10月17日(土)-10月25日(日)に開催!

開催概要


名称 : 第22回東京国際映画祭

期間 : 2009年10月17日(土)-10月25日(日) 9日間

会場 : 六本木ヒルズ(港区)をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用



今後も公式サイトでは最新情報を随時更新します。http://www.tiff-jp.net/


第22回TIFFサイトTOPページ

2009.01.01[更新/お知らせ]

第21回東京国際映画祭アジアの風部門上映作品『ワンダフル・タウン』が、洋画★シネフィル・イマジカにて放送決定!

第21回東京国際映画祭、アジアの風部門にて上映された『ワンダフル・タウン』が、
洋画★シネフィル・イマジカ「シネフィル直輸入映画」(スカパー!(260ch)・
スカパー!e2(224ch)、全国のケーブルテレビ局で視聴可能)にて放送されます。

「シネフィル直輸入映画」とは、各国の映画祭の受賞作品や、劇場公開された国では話題になりながら日本ではまだ公開されてない貴重な作品を独自で買付け、放送する洋画★シネフィル・イマジカならではの番組です。

タイ・アートフィルムの新星アーティット・アッサラット監督の長編デビュー作、第21回東京国際映画祭アジアの風部門上映作品『ワンダフル・タウン』、洋画★シネフィル・イマジカ「シネフィル直輸入映画」にて放送決定!
放送日
2009年1月
18日(日)23:30-
21日(水)18:45-
22日(木) 9:15-
29日(木)11:00-

『ワンダフル・タウン』の放送にあわせて、アーティット・アッサラット監督の短編作品『モーターサイクル』、『最後の旅』の2作品も放送されます。

番組の詳細等は洋画★シネフィル・イマジカの公式サイトにてご確認ください。

視聴方法はコチラから



→ 続きを読む

2008.12.26[更新/お知らせ]

第21回東京国際映画祭を振り返って リレーコメント(その12・最終回・コンペティション国際審査委員長 ジョン・ヴォイトさん)

■コンペティション国際審査委員長 ジョン・ヴォイトさん(俳優)にお聞きしました。




○TIFFを振り返ってみて

日本に来れたこと嬉しく思っています。素晴らしい人々に出会い、沢山の思い出ができました。なぜこんなに居心地がいいのかと思うほど、居心地がいいです。もちろんたくさん友達がいるということもあるだろうけれど、何故か本当にすごく居心地がいいです。日本に来られて非常に幸せです。


○コンペティション部門審査委員長を務めた感想は?

以前にも同じような経験をしたことがあり、その時もやはり大変な仕事でしたので、この仕事がとても大変であるということも理解していましたし、大きな責任を感じていました。
一緒に審査をした審査委員たちは、それぞれ他の審査委員たちとは全く違う並外れた才能を持っていて、そして皆、非常に勉強家で情熱的な目をしています。私は本当にいい審査員たちに恵まれ、いい仕事をすることができました。
皆がお互いの意見を聞く姿勢を持っていることが、このグループの最も素晴らしいところだと思っています。
一人ひとりが、他の人の意見をきちんと聞き、焦らずに答えが出るまで熟慮して真剣に考えて結論を出しました。
だから皆、この仕事に満足していると思います。




※第21回東京国際映画祭を振り返るリレーコメントは今回が最終回です。バックナンバーはこちらから↓
その11・檀 ふみさん
その10・『ハーフ・ライフ』チーム
その9・ヨハン・クレイマー監督
その8・ジャンニ・ディ・グレゴリオさん
番外編・アンドレアス・カネンギーサー監督
その7・別所哲也さん
その6・イエジー・スコリモフスキ監督
その5・マリオ・ホセ・チャベス・チャベスくん
その4・フォ・ジェンチー監督
その3・ロリス・オメデスさん
その2・フセイン・カラベイ監督
その1・依田 巽チェアマン


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