世界では国家の分裂が立て続けに起きた同年、「インターナショナル・コンペティション」では第3回開催に引き続き、ユーゴスラヴィアからライコ・グルリチ監督の出品作が上映され、監督の来場もありました。一方では、「インターナショナル・コンペティション」の審査員としてソビエト連邦より映画評論家のアンドレイ・プラホフ氏が任命され、「ヤングシネマ1991コンペティション」にも同国の「さまよえるオランダ人」が出品されました。同年末にはソビエト連邦が崩壊。アジアで開催された東京国際映画祭にも、確かに世界情勢が映りこんでいました。
また、カンヌ国際映画祭の協力によって催された「カンヌ国際映画祭“ある視点”部門」では、国際映画祭の交流が行われ、「ハイビジョン・シンポジウム」ではデヴィッド・パットナムさん、ピーター・グリーナウェイ監督、ヴィム・ヴェンダース監督、黒澤明監督が新時代の映像の可能性について言葉を交わしました。協賛企画「ジャックスカード東京国際ファンタスティック映画祭」においては、前年にこの世を去ったジャック・ドゥミ監督を偲ぶ回顧上映が行われました。
東京グランプリ・都知事賞
「希望の街」 (ジョン・セイルズ)
審査員特別賞
「牯嶺街少年殺人事件」 (エドワード・ヤン(楊徳昌))
「過ぎにし年・迎えし年」 (ホワン・チェンチョン(黄健中))
最優秀監督賞
アラン・パーカー (「ザ・コミットメンツ」)
最優秀女優賞
シャオ・リーロン(趙麗蓉) (「過ぎにし年・迎えし年」)
最優秀男優賞
オタール・メグヴィネトゥツェシ (「汝、去るべし」)
最優秀芸術貢献賞
斎藤岩男―美術/安藤庄平―撮影 (「四万十川」)
最優秀脚本賞
ティム・メットカーフ (「アイアンメイズ ピッツバーグの幻想」)
東京ゴールド賞・都知事賞
ジャン=ピエール・ジュネ監督/マルク・キャロ監督
(「デリカテッセン」)
東京シルバー賞
イェ・ホンウェイ(葉鴻偉)監督
(「ファイブ ガールズ アンド ア ロープ」)
ジョスリン・ムーアハウス監督 (「プルーフ・証拠」)
東京ブロンズ賞
ウォルフガング・ムルンベルガー監督 (「天国か地獄か」)
ミゲル・ペレイラ監督 (「最後の収穫」)
特別功労賞
サタジット・レイ監督
国際映画批評家連盟賞
「牯嶺街少年殺人事件」 (エドワード・ヤン(楊徳昌))